札幌地方裁判所 昭和44年(ワ)413号 判決 1969年7月29日
原告 辻敞
被告 ノーリツ通商株式会社
代表者代表取締役 村上文三郎
訴訟代理人弁護士 大野米八
岩井淳佳
主文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実
(一) 求めた裁判
原告 「被告は原告に対し一四四、一五〇円及び上記金員に対する昭和四四年一月七日より完済迄の年六分の割合の金員を支払え」との判決
被告 主文1同旨の判決
(二) 主張、認否
Ⅰ 請求原因
1 被告は昭和四三年一〇月五日訴外第一綜合家具販売株式会社に対し、額面金一四四、一五〇円、振出地・支払地共に札幌市、支払場所株式会社北海道相互銀行菊水支店、支払期日昭和四四年一月七日なる約束手形を振出した。
2 右訴外会社は同四三年一二月五日右手形を拒絶証書作成義務免除の上原告に裏書譲渡し、原告は支払期日に支払場所に呈示したが支払をえられなかった。原告は現に同手形を所持する。
Ⅱ 認否
1 請求原因1は認、2不知、なお本件手形は訴外会社において紛失したものである。
(三) 証拠≪省略≫
理由
1 請求原因1については当事者間に争がない。
2 次に訴外会社から原告への裏書の連続の点について見るに、証人浦辻和昌の尋問結果から同人が記載したと認められる甲第一号証(約束手形)の裏面部分と、その成立に争のない同手形の表面部分を検するに、同手形は被告会社から訴外第一綜合家具販売株式会社に振出された後の裏書は裏書人「第一綜合家具販売株式会社常務取締役浦辻和昌」被裏書人原告となっていることが認められる。しかし、常務取締役は会社を代表する権限を有しないから、右裏書は訴外第一綜合家具販売株式会社の適式な裏書とは認めえない。それ故原告は本件手形上裏書の連続を欠くことになるので権利者と認めることはできない。
3 従ってその余の点につき判断する迄もなく原告の本訴請求は失当であるので棄却する。訴訟費用は民事訴訟法第八九条を適用。
(裁判官 福島重雄)